ストーリー
東京郊外のアパートでひとり暮らしをしている由起子(渡辺真起子)。
15年前に3歳の愛娘を亡くした彼女は、心に癒えない心の傷を背負い、
今もその罪の意識から逃れられずにいた。
由起子はある日、「布橋灌頂会」という儀式の存在を知る。
白装束を纏った目隠しの女性たちが、
立山連峰のふもとにある布橋の下を流れる川を三途(さんず)の川に見立て、
この世とあの世の境とされるこの赤い橋を渡ります。
この世ならぬ幽玄な光景に心惹かれた由起子は、その儀式に参加することとなる。
訪れたその地で、
地元の高校生 沙梨(陣野小和)、
何か事情を抱えて参加した夏葉(木竜麻生)と言葉を交わし、
心が通い合う時を過ごす中で、
由起子は亡くした娘の記憶と向き合うことになるのだったーー。






大切な人を失ってしまったその人はどうやって再生するのでしょうか。 答えは失ったことがある人にしかわからないのかも知れません。
人は必ず、その時を迎えます。それが他者なのか自分なのかは分かりませんが。
魂というものがあるのなら、それはどこに行くのでしょう。
坂本監督が紡いだ時間は見つめている者と見つめられている者の物語になっていました。
この映画の構想から、気づけば9年という月日が流れていました。
ずっと心に引っかかっていた思いを、ようやく物語にすることができました。
誰かを失った経験がある人、悲しみを抱えたまま立ち止まってしまった人へ。
立山の風景に寄り添いながら描いたこの小さな物語が、観てくださる方の心のどこかに静かに触れ、前へ進む力になりますように。